2015年10月22日

ワーカーの雑感


私たちの仕事は相談業務が主です。

 介護、ふれあいいきいきサロン、ボランティア、近隣関係、相続、権利擁護、財産管理など多種多様な相談が毎日寄せられます。

 相談業務を行う職業をソーシャルワーカーといい、個別面談に関する知識や技術を持ち、それらを駆使して相談者と向き合います。ソーシャルワーカーは大学や専門の研修機関などで学び、資格を持っている者がほとんどですが、勉強する過程で必ず教わる言葉に「ラポール」という心理学用語があります。簡単に説明すると「相談者とソーシャルワーカーの信頼関係」を指します。

 私もソーシャルワーカーの端くれですが、日ごろの相談を受ける中で限られた短い時間でいかに相手との信頼関係を築くことが出来るか四苦八苦しています。

「相手の話しに耳を傾け、受容し、共に悩み、自己決定を促す。」

この流れの中で私たちが相談者に信頼されることがいかに大事か現場で目の当りにしてきました。
 ただ、相手と意思疎通が図れず、約束したことを守ってもらえなかったり、こちらの助言やお願いを聞いてもらえなかったりしてゴール(目標達成)まで遠回りすること、逆に離れてしまうこともしばしば・・・
 そんな事が日常的に続いたり、相談者からの信頼を得ることばかりに集中してしまうと大事なことを見落としてしまいます。それは自分が相談者を信頼すること。

 前段でお話ししたラポール=信頼関係は相談者とワーカーの間に生まれます。
これは相互関係です。つまり、いかに相手からの信頼を得るかではなく、いかにお互いが信頼し合える関係か、ということなのです。

 実は先日ある相談者と関わりを持たせていただく中で、恥ずかしながらこの最も大切で基本的なことに気付かされました。いや、気付かせてもらいました。
 判断能力が低下し、記憶障害などが重なり、毎回約束を反故されると「この人はいつもこうだから」と相手を疑ったり、信用できなくなったりしてしまう。それはいけない事だと思っていても心のどこかで「どうせ、また・・・」と思ってしまう。
 そう思い始めた矢先にきちんと約束を守っていただいたり、約束以上の自発的な行動でより良い方向に向いた時に自分が間違っていたな、気付かせてもらったなと思う。

 このようなケースの関わりの中でワーカーとしての自分がさらに成長し、相談者の思い描く生活の為に少しでも力を添えることができる、支援できるようになればと気持ちを新たにすることができました。
 今後も相談を受ける立場、支援させていただく立場として少しでも相談者と寄り添い、共に歩んでいけるワーカーであるよう努力したいと思います。

2015年10月22日 11:25